不気味に並ぶクローン城の真相と放置理由!2026年現在の姿を追う
SNSのタイムラインや動画プラットフォームで突如流れてくる、異様な光景を目にしたことがあるでしょうか。緑豊かな山あいの斜面に、まるでCGでコピペしたかのように全く同じフレンチ・ゴシック調の城が、視界の果てまで何百棟も立ち並ぶ姿――。ネット上で「クローン城」あるいは「リアルおとぎ話のディストピア」と呼ばれ、世界中に戦慄と好奇心を巻き起こしている現場です。
「なぜ同じ城が大量に建てられたのか」「なぜ誰も住まずに放置されているのか」「現在はどうなっているのか」。本稿では、トルコ現地での開発経緯から破産の内幕、香港の歴史遺構や人気ゲームとの混同といったネット上の盲点、そして2026年最新の現地状況まで、取材データと公的記録を基にその全貌を解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:クローン城の正体はトルコ北西部ボル県の高級リゾート「ブルジュ・アルババス(Burj Al Babas)」であり、中東富裕層向けに700棟以上が計画された巨大別荘地。
- 要点2:建設中止と放置の主因は、中東マネーの後退、トルコ通貨危機(リラ急落)、インフレに伴う開発会社サロット・グループの経営破綻(約2,700万ドルの負債)。
- 要点3:2026年現在も完全再開には至らず「世界で最も贅沢なゴーストタウン」としてダークツーリズムの標的になる一方、香港の「九龍城(クーロンじょう)」やゲーム『黒い砂漠』の「クロン城」との検索上の混同も多発している。
【2026年最新】「クローン城」とは何か?不気味なほど同じ城が並ぶ噂の真相
ネット上で「クローン城」と呼ばれるこの場所の正式名称は、「ブルジュ・アルババス(Burj Al Babas)」です。場所はトルコ北西部ボル県にある歴史ある町、ムドゥルヌ(Mudurnu)の郊外に位置しています。
プロジェクトが始動したのは2014年。トルコの大手不動産開発会社「サロット・グループ(Sarot Group)」が立ち上げた、総事業費約2億ドル(約200億〜300億円規模)に及ぶ超巨大高級リゾート開発でした。計画では、敷地内に合計732棟におよぶディズニーの城を彷彿とさせる豪邸(ヴィラ)を建設し、敷地中央には巨大なドーム状のショッピングモール、トルコ風呂(ハマム)、温泉スパ施設、美容クリニック、モスクを配置する一大保養都市を目指していました。
なぜ不気味なほど同一のデザインで建てられたのか――その最大の理由は、「ターゲット層の嗜好」と「大量プレハブ工法によるコスト圧縮」にありました。開発側は主にサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カタールといった湾岸アラブ諸国の超富裕層を顧客に設定。「ヨーロッパ貴族のシャトー(城)」のようなステータスシンボルを、温泉の湧き出る風光明媚な高原で手に入れられるという触れ込みでした。同じ外観の規格化されたユニットを山肌に反復して配置することで、工期短縮とスケールメリットを狙った結果、あの異様な「クローン群」が出現したのです。

建設中止に追い込まれた決定的な理由|破産経緯と放置された背景
かつては華々しく宣伝され、1棟あたり約40万〜50万ドル(当時のレートで約4,500万〜5,500万円)で販売が進められたこの街は、なぜ完成を前にして息絶え、廃墟と化したのでしょうか。その決定的な破綻劇には、国際情勢と経済構造の激変が絡み合っています。
第一の打撃は、2010年代半ば以降の原油価格の下落でした。主要な買い手であった中東富裕層の資金繰りが悪化し、物件を契約していた購入者からの支払いが滞る事態が相次ぎました。完成前に販売代金を回収して次の工事費に充てる不動産スキームが、根底から崩れ始めたのです。
追い打ちをかけたのが、2018年にトルコを襲った深刻な通貨危機(トルコリラ暴落)とハイパーインフレでした。外貨建ての債務や輸入建材のコストが天文学的に跳ね上がり、工事現場はたちまち資金不足に陥ります。約587棟の外観が立ち上がった段階で現場は完全にストップ。サロット・グループは負債総額約2,700万ドル(約30億円超)を抱え、裁判所に破産を申請する事態に追い込まれました。
さらに、地元ムドゥルヌの住民や環境保護団体からの激しい反発もプロジェクトを追い詰めました。ムドゥルヌは伝統的なオスマン様式の木造建築が残るユネスコ暫定遺産登録地であり、「歴史ある景観にそぐわないけばけばしい西洋の城が、緑豊かな森林を切り開いて乱立している」として法的な開発差し止め請求が相次いでいたのです。
| 項目 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 所在地 | トルコ北西部 ボル県ムドゥルヌ | イスタンブールから車で約3.5時間 | 伝統建築が並ぶ山間の盆地で、リゾート開発にはアクセスが難点 |
| 計画棟数・現状 | 計画732棟 / 建設着手587棟 | 通常の大規模分譲住宅地(100〜300棟程度) | 同一デザインの過剰供給が著しく、景観圧迫感が極限に達している |
| 物件価格(販売当時) | 1棟あたり40万〜50万ドル | トルコ国内高級別荘平均(20万〜30万ドル) | 湾岸マネーを当てにした強気のプレミアム価格設定 |
| 破産負債総額 | 約2,700万ドル(約35億〜40億円) | 同規模プロジェクトの予備費限度額 | 通貨暴落と支払い不履行が重なり、リファイナンス不能に陥った |
| 建築ステータス | 外装ほぼ完成、内装・インフラ未整備 | 引き渡し時は内装完工が通例 | 外観はおとぎの国だが、内部はコンクリート剥き出しの廃墟状態 |
【実態検証】ネットの反応と現地を訪れた旅行者が目撃したリアル
空撮ドローン映像が海外掲示板RedditやYouTube、X(旧Twitter)に投稿されるやいなや、「クローン城」は瞬く間にバイラル現象となりました。ネット上の反応を検証すると、人々の好奇心と恐怖心が入り混じった声が確認できます。
「まるでゲームのマップエディタでオブジェクトを連続配置したバグ画面」「不気味の谷現象を建物で体験しているようだ」「誰もいない青空の下、同じ尖塔が無言で並んでいる姿はホラー映画よりもゾッとする」といった、建築の異様性に息をのむ書き込みが多数を占めます。
実際に現地ムドゥルヌを訪れたジャーナリストや旅行者の証言によると、遠目には優美な青灰色の円錐屋根と白いバルコニーが美しく見えるものの、近づくにつれて異様な静寂と冷たさが際立つといいます。舗装されかけた道路は雑草に覆われ、建物のドアや窓にはガラスすら入っていない棟が多数。城の内部を覗けば、剥き出しの配管やコンクリートの粉塵が散乱しており、豪邸のイメージとは程遠い「灰色の抜け殻」が放置されているのが実態です。
現地へのアクセスは、イスタンブールから車または長距離バスでボル(Bolu)を経由し、約3時間半から4時間を要します。現在は警備員が巡回しており、私有地のため敷地奥への無断立ち入りは厳しく規制されていますが、周辺の高台から一望できるパノラマを目当てに訪れる旅行者は後を絶ちません。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|九龍城砦や『黒い砂漠』との違い
検索エンジンで「クローン 城」と検索する際、多くのユーザーがまったく異なる複数の対象を混同しているケースが散見されます。ここでネット上の誤認を明確に整理しておきましょう。
誤解1:伝説のスラム街「九龍城(クーロンじょう)」との混同
最も多いのが、香港に実在した巨大城塞・スラム街「九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい / 通称:クーロン城)」との音の響きによる混同です。九龍城砦は、かつて無法地帯・東洋の魔窟として知られましたが、1994年に完全に解体・消滅しています。跡地は現在、美しく整備された「九龍寨城公園」となっており、2024年以降もアクション映画『九龍城寨之圍城(トワイライト・ウォリアーズ)』の世界的大ヒットなどで再注目されました。トルコの「クローン城(洋風の城型別荘群)」と香港の「クーロン城(違法増築が重なり合った超高密度スラム)」は、時代も背景も完全に別物です。
誤解2:人気MMORPG『黒い砂漠』の「クロン城」との混同
もう一つの盲点は、世界的PC・家庭用ゲーム『黒い砂漠(Black Desert)』に登場する地名「クロン城(Cron Castle)」との表記ゆれです。ゲーム内のクロン城は、バレノス東部にそびえる荒廃した古代の城郭要塞であり、プレイヤーが序盤から中盤にかけて訪れる重要拠点です。ゲーマーが攻略情報や設定を検索する際に「クローン城」と入力することで情報が交錯していますが、こちらもトルコの実在リゾートとは無関係です。
クローン城の2026年現在の状況|再生計画の行方と廃墟の未来
2026年を迎えた現在、放置されたブルジュ・アルババスはどうなっているのでしょうか。現地の行政資料および経済報道によると、状況は「完全放置から法的な再編・活用模索の過渡期」に突入しています。
破産宣告後、サロット・グループの経営陣は判決に対する異議申し立てと再建手続きを継続。一時期はトルコ国内外の複数の投資ファンドが未完成物件の買い取りや、医療ツーリズム・温泉ヘルスケア施設への用途変更を提案しました。しかし、700棟規模という巨大すぎる供給過剰、インフラ未整備の解消にかかる巨額の追加投資、そしてムドゥルヌの景観訴訟問題が重い足枷となり、2026年現在も大半の城は未完成のまま眠り続けています。
皮肉なことに、この「異様な未完成の姿」そのものが世界的な知名度を獲得したことで、近年はダークツーリズム(災害や破綻の跡地を巡る観光)の名所としてメディアのロケ地やSNSの撮影スポットとして機能し始めています。地元自治体にとっても、歴史ある伝統都市のイメージを傷つけられた痛手である一方、世界中から訪れる野次馬的な観光客をどう地域経済に取り込むかという、極めて複雑なジレンマを抱えているのが2026年現在の生々しい実情です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
クローン城(ブルジュ・アルババス)をめぐる現地見学や情報リサーチにおいて、どのようなスタンスで臨むべきか。専門的な視点から判断基準を提示します。
【向いている人・関心を持つべき人】
- 現代の経済・開発リスクに関心がある人:過度な投機熱と通貨リスク、市場調査を怠ったディベロッパーが辿る末路を学ぶ生きた教材として、類を見ない資料的価値があります。
- 特異な現代建築・廃墟美を追う写真愛好家:整然と並ぶ同一の尖塔と山の自然が織りなすコントラストは、他では絶対に撮影できない異世界的な構図を提供してくれます。
【慎重になるべき人・おすすめできない人】
- 快適な観光・内部散策を期待している人:敷地は私有地であり厳重な立ち入り制限があります。周辺に洗練された観光インフラ(カフェや案内所など)は存在せず、外観を遠望する以上の体験は得られません。
- 安全な足場や整備された環境を求める人:工事が途中で放棄された現場周辺は舗装が崩れ、むき出しの鉄筋や資材が放置されている箇所もあります。安易な侵入は法的・安全面の両面で大きなリスクを伴います。

【クローン 城】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:クローン城の正式名称と場所はどこですか?
A1:正式名称は「ブルジュ・アルババス(Burj Al Babas)」です。トルコ北西部ボル県ムドゥルヌ(Mudurnu)の郊外に位置しています。
Q2:なぜ全く同じデザインの城が何百棟も建てられたのですか?
A2:中東(湾岸アラブ諸国)の富裕層向けに「ヨーロッパ風の豪邸」をステータスとして販売するため、同一規格のプレハブ工法を用いて大量に建設し、コスト削減とラグジュアリーな街並みの統一を図ったためです。
Q3:香港の「クーロン城」やゲーム『黒い砂漠』とは何か関係がありますか?
A3:直接の関係は一切ありません。香港の「九龍城(九龍城砦)」は1994年に解体された高密度スラム街の呼称であり、ゲーム『黒い砂漠』の「クロン城」は架空の砦要塞です。発音や表記の類似からネット検索で混同されています。
Q4:2026年現在、現地に行って建物の中に入ることはできますか?
A4:内部への自由な立ち入りは禁止されています。民間の私有地であり警備員が巡回しているほか、内装工事が途中で止まっており床や階段が危険な状態です。見学は敷地外の公道や高台からの遠望に限られます。
まとめ:過剰な欲望が生んだ異形の遺構が見せる教訓
トルコの山あいに静まり返る「クローン城」ことブルジュ・アルババス。それは単なるネットの奇妙なバズスポットにとどまらず、「バブルに踊らされた過剰な投機熱」と「地域性と隔絶した開発の脆さ」を象徴する現代の記念碑といえます。
どれほど華麗なおとぎ話の城を描いても、経済基盤の脆弱さと自然・文化との調和を欠けば、わずか数年でゴーストタウンへと姿を変えてしまう――。整然と立ち並ぶ587棟の冷たい城々は、2026年の今も、現代社会が抱える欲望とリスクの本質を無言のまま私たちに問いかけ続けています。 (出典: クローン 城(Yahoo!ニュース))